氷の上で暮らすあざらし
極寒の寒さの中のあざらし。
そんな状態でも生きていけるのは、食べ物をどうやって得るかを知っているから。
いつどこで手にはいるか、どういう技があれば生きていけるかを分かっている。
そんなあざらしにエサをくれる人がいる。
もちろんそれはあざらしにとってありがたいこと。
でも、そのかわりそのエサ場を離れろ、と言う。
いつも暮らしている場所を離れて、こっちのエサ場にくればもう困らないぞ!と言う。
そんなはずはない。
あざらしは、それを知っている。
その場所がなくなったら生きていけないという状態は、とても不安定なことだ。
エサを与えるから、こっちにこい。
そういう言い方は、あざらしの生活を知らないから言えることなのだ。
まあ、好きで氷の上にいるのだから、そんな状況を分かってくれなんてことは言わない。
でも、あざらしにも生き方のポリシーがあるのだ。
苦しくてもそこにとどまるのには、理由があるのだ。
あざらしはあざらし、人は人。
単に、違う生き物であるというだけ。
誰が上で誰が下ということを考えた時点で、お話は終わり。
「ありがたいお話だけど、エサはいらないよ!おたがい、がんばろうぜ。」
そう言って、あざらしはそんな人間たちに背を向ける。
あざらしはずっと、そんな風に生きている。